1

9/17
7598人が本棚に入れています
本棚に追加
/644ページ
表通りから露地を抜けた先の古いビル。 小さな趣のあるドアが印象的なあたしの隠れ家。 bar rain カウンターの端っこに座り、ビル最上階の9階から環状線を眺める事があたしの至福の時。 アンティークな薄暗いランプが心地よくて、必ず一人で訪れる店だった。 「こんばんは」 「いらっしゃい、今日は早いね」 「バーボン頂戴。ロックでね」 手入れされた顎髭が似合うマスターは少し目尻を下げロックグラスに手を伸ばした。
/644ページ

最初のコメントを投稿しよう!