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今にも雨が降りそうな曇天の空を見上げながら俺はため息を吐いていた。今日は最悪な一日だった。
友人の斎藤が行方不明となり、隣のクラスの佐山という奴が学校の屋上で遺体で見つかった。
言い表わせない複雑な気分だ。空も俺の気分と同調するようにだんだんと暗くなっていく。
「神坂ーー!雨降る前に速く帰ろうぜ!」
友人のタクが傘を持って走ってきた。小学生が使うようなカエルのイラストがプリントされた傘は色が薄くなっている。
「タク、帰っていいぞ。俺は寄るところがある」
「なんだ、寄るとこあんなら付き合うぜ?ゲーセン?駄菓子屋?」
「両方ハズレ、てか付いてくるのか?お前門限あるんだろ?時間あるのかよ」
「ご安心あれ!」とタクは胸を張った。「今日は家に親は居ないのだ。妹も部活で八時までは絶対に戻らないし、八時までなら付き合える」
「そうか」と俺は携帯を開く。時計は六時を示そうとしていた。
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