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タクを連れて大通りを歩く、今日は珍しく人の通りが少ない。建設工事中のビルに鉄骨を釣り上げている。
「アレに潰されたらぺしゃんこだな」とタクは警戒するように見上げて言った。
公園の前に着く、公園にはゾウの形をした「黄色のゾウ」と呼ばれている滑り台が設置されている。
「ここの公園に用があったのか?」
「違う、あそこだ」
俺は目の前の店を指差した。店の前には何故かパンダの置物が置いてあり、ベンチには招き猫が鎮座している。
「店?なんの店?なんか怪しいんだけど……」
「古本屋だよ。感じは怪しいけど、まぁ心配するな」
店の前に行き、引き戸を開ける。薄暗い店内には古本が棚に並べられている。
「なんで古本屋?神坂って古本読むの?」
「あったりまえだ、俺は読者家だぞ。……二日前から」
「二日前っておい……。マイブームって奴?」
「ん、まぁ、そんなところだ」と俺は適当に一冊選びカウンターへと持っていく。本を読んでいた店員がチラリと本を見て、にんまりと笑い、「二千円」と呟いた。
二千円を払い本を受け取る。タクが「高いな」と真剣な表情で呟いた。が、そんな事はない、古本で二千円はお得な方だ。
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