Monitoring

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  「――新堂宗介です。よろしくお願いします」  宗介は簡単な挨拶をすると、教室を見渡す。真っ先に目に付いたのは、真ん中の列の最後尾で腕を組んで宗介を睨む咲良乃の姿だった。  多分睨んでいるつもりはないのだろう。目付きが鋭いから睨んでるようにしか見えないだけで。  文花は廊下側の後方に座っていた。その後ろは空席だが、その隣り――文花の斜め後ろ――も空席で、教室を見る限りどちらかが宗介の席のようだ。 「では、新堂君は小田原さんの隣りです。小田原さん……は、今日はお休みでしたね」 「そーすけー、ここだぜー」 「そうそう、澄木嶺さんの後ろです。というより……新堂君と澄木嶺さんは既に知り合いなんですね」 「以前、ここに住んでいた時の知り合いです。5年前まで日比ヶ谷に住んでましたので」 「ああ、なるほど。ということは他にも知り合いが?」 「はい、いますよ。昨日男子寮で何人かに声は掛けました」  知り合いの田北、鏡には既に声を掛けている。その際に出来る限りの執行会の情報を聞き出し、咲良乃以外の執行委員全ての異能を把握した。  これからを考えれば真っ先に知るべき情報である。早々に聞けたのは僥倖だった。
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