Monitoring

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「咲良乃、特別に実動部隊を使ってもいい。この件が終わるまで、普段の事務仕事も私がやったげる。その代わり、分かってるね?」  千早が提示してきた条件は、異常と表現しても過言ではない破格の内容だった。  千早の言葉を要約すると、執行会の全力を挙げて宗介を取り締まれと命令しているのだ。  何1つ規則に違反していない一生徒を怪しいからという理由だけで取り締まるなど、一度も前例がない。  どうして千早がそこまでするのか、咲良乃には分からない。宗介にそこまでの危険性があるとも思えない。  それでも、咲良乃は疑問を飲み込んで千早の言葉に首肯した。 「……今週の金曜」 「ん?」 「球技大会のある日だが、その日には千早が何の懸念もなく行事に没頭できることを約束しよう」 「なら期待しとく」  その言葉を聞き、咲良乃は普段全く使わないパソコンを立ち上げる。  明日から、などと生ぬるいことを言う気は更々ない。期限まで3日あるが、咲良乃は明日には決着を付けるつもりでいた。  千早がそこまで認めた相手がどれほどなのか試してみたいという好奇心と、千早にここまで言われた屈辱を原動力に、咲良乃の指が動く。  そんな咲良乃を見ながら、千早は笑顔を浮かべてこう言った。 「……今日の業務は咲良乃持ちね」 「おい」  出鼻は味方に挫かれた。
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