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実動担当――現場に直接向かい、場を制圧する役職――は、特に限られた異能持ちにしかなれないと聞いていたが、そこまで戦闘に特化しているとは聞いていなかった。
千早のゲームの件もある。執行委員の情報はもっと集めるべきだと、宗介は頭の中で今後の予定に追加した。
「差し当たって新堂に覚えてもらいたいのはこれだな」
そう言い、咲良乃は1冊の赤いノートを宗介に手渡す。
赤いノートの表紙には油性マジックででかでかと、かつ達筆で『風紀日報』と書かれている。
……その文字に可愛らしいスタイルで『ふぅきにっぽ~』とルビが振ってあるせいで、威厳は半減していたが。
「それを読めば私達の仕事を理解できると思う。というより、私達の仕事の大半はそれを書くことだからな」
「それでいいのか執行会……」
「それでいいさ。私達のような組織は動かない方がいい。何もないならそれに越したことはない」
言いながら咲良乃はホワイトボードにノートと同じ達筆で文字を書く。
書き終わり、振り返った咲良乃は右手の甲でホワイトボードを叩く。
そこにはこう書かれていた。
『第三期風紀執行委員会』
「――改めて、風紀執行委員会にようこそ。委員会を代表して、お前を歓迎する」
この日から、宗介の過ごしていた仮初めの日常は終わりを告げた。
そして始まった。
異端と波乱に満ちた、慌ただしい学園生活が――
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