捨てルッカ拾った

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「この間から俺のことを探ってたみたいだけど、なんでそんなことをしたのか教えてもらっていいか?」  びくりと果林は体を震わせる。叱られている子供のような、そんな怯えた表情を浮かべて宗介を見た。  それを見て宗介は慌てて訂正する。 「誤解がないように言うと、別に怒ってる訳じゃない。どんな理由でそんなことをしたのか、純粋に興味があるんだ」 「興味……ですか」 「ただの好奇心と取ってもらって構わない。今までそんなことをする奴はいなかったからね」  もちろん大体の予想は付いている。けれどもこれは本人の口から直接聞かなくてはならなかった。 「すみませんが、その件に関しては僕から言えることはありません。果林がそうしたいと願ったから僕は手を貸した。それだけです」 「理由を聞かなかったのか?」 「興味がなかったので」  そう言ってそっけなく話を切る。淡々としているが、内容を言い換えると友達の為なら理由も聞かずに手を貸すということだ。見かけによらず情に厚い。  視線を隣の果林に向ける。果林は意を決したように表情を引き締め、話し出した。 「……蓮治兄さんに、お詫びがしたかったんです」 「お詫び?」 「私、要領が悪くて、変なことばっかりしてしまうんです。そのせいで蓮治兄さんに迷惑掛けてばっかりで、どこかで恩返しができればとずっと考えていました。そこで澄木嶺先輩と新堂先輩の噂を知ったので、私に何かできることがないかと思って……その、色々調べてました」  その言葉は予想していた通りでもある。しかし果林の言った恩返しという単語が、宗介の脳裏で引っ掛かった。  その脇で、訝しげに表情をしかめていた咲良乃が口を開く。 「何故、鏡に詫びをするのに新堂を調べる必要があったんだ? そこは関係ないだろう?」  その発言を聞いた果林とルッカは、ポカンとした表情で咲良乃を見る。この人は何を言っているんだろう。そう思われていることを察するも、やはり理由は分からず、2人の反応に首を傾げた。  先に気を取り直したルッカが、慌てて頭を下げる。 「すみません。まさか咲良乃先輩が噂を知らないなんて思わなくて……」 「噂?」  聞き返した咲良乃に宗介はあっさりと応えた。 「鏡が文花に片想いしてるって噂だよ」
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