第一章:殴る神あれば拾う神あり(前編)

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 この変態さんが何の部活をしているのかは知らないが、現在5名しか所属していないらしい。 僕の高校は俗にマンモス校と呼ばれるような高校だ。 圧倒的敷地に其処らの高校の十数倍の生徒数を誇る高校で5人というのはおかしい。 カバディ部という何やってるのかがよく分からない部活ですら20人も所属しているのにだ。 つまり何か常人が好んでやるような部活ではないと思われる。 間違いなく、友達を作りたくて作りたくて仕方がない僕が入るべきではない。 というか僕が入るべきな部活ってなんだろ? 運動は苦手だから運動系はなし。 と、なると文化系の部活だよね。 一人暮らしだし料理部とかいいかもしれないね。 「ん、入ってくれる事を考えてくれているのかな」 「いえ、違う部活に入ってしまえばこの面倒な勧誘も終わるかな……って」  適当に変態さんをあしらいながら学校に向かう。 この人の部活に興味がない訳ではないけど、もっと人数が多い所の方が友人作りには向いているので今は入るつもりはない。 それに何をやっている部活なのかを訊いても「フッフッフッ、それは入ってからのお楽しみだよ」という訳の分からない事を言ってくるので入る事に躊躇してしまう。  そんな事を考えていたら無駄にデカイ……いや、それに見合うだけの生徒がいるので無駄ではないが、馬鹿らしいぐらい大きい学校が見えてきた。 生徒の髪色なんかよりこっちの方がファンタジーな存在に思える程の大きさだ。 「では校舎も違うので私はもう失礼するよ」  おお、やっといなくなるのか。 「だが、第二第三の私が貴様の前に立ち塞がるだろう! せいぜい早く我が部に入部する覚悟を決める事だな」  HAHAHAと高笑いをして去っていく変態。 第二第三のってなんだよ。 同じ人がたくさんいたら普通に怖いよ。 「あの……空亡さん……ですよね? 私達の部活に入って頂けませんか?」 本当に来たよ第二の人が。
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