第一章:殴る神あれば拾う神あり(後編)

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 意気揚々と大好きだったダークヒーローの台詞を言い放った僕だったが、よく考えると使い所がおかしい事に気が付き、気恥ずかしい気持ちになる。 心做しかにゃ五郎や赤口先輩が呆れたような顔をしているように見える。 「まぁ……危ないから止めておいてほしいのだが? 俺らがお前を部活に誘っていたのだって犯人だと思っていたからだし、変に責任とか感じなくていいんだぞ」  えぇ……僕を部活に誘っていたのってそんな理由だったのか……。 なんかショックだな。 それに僕、疑われるような事してたっけ? んぅ……クールキャラぶった奴だったからかな? まぁいいか。 「んぅ、危なくなったら先輩達をほっぽって逃げるんで大丈夫です。 責任なんて感じてませんし」 ほとんど無関係な僕がなんで責任を感じると思ったんだろ? やっぱり第一発見者だから? 「サイアの話では全く問題なさそうだから……まぁいいが。 遅くなっても大丈夫なのか? 家の人が心配するだろ、もう既に夜なんだぞ?」 「一人暮らしなんで問題ないですね。 それに明日は土曜日なんで徹夜でも大丈夫です!」 んぅ、なんで先輩は僕をこんなにも帰したがるのか……? もしかして嫌われてる? 犯人に疑われてた訳だし、そうかもしれないね。 「話は纏まったか? じゃあそろそろ行くぞ?」  にゃ五郎が僕たちのいた廊下に出てきてそう言った。 そう言えば犯人の場所は分かっているのだろうか? 何故か今日学校にいたし、しかも事件が起こっていることを知っていたみたいだし何らかの方法で分かっているんだよね?
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