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そんな事を考えながら髪を乾かしていると、不意に呼び鈴の「ピンポーン」という音が鳴った。
こんな時間に誰だろ?
玄関に向かいながら思考を巡らせる。
僕には友人がいない……うん、いないから友人ではないし、引っ越してきたばかりだから知り合い程度の人が知っている訳がない。
かと言って、こんな夜に知らない人が来るのは変だ。
この二つの考えを組み合わせると…………うん、分からん。
もう玄関まで来たんだし聞けばいいか。
変質者や強盗対策に一応チェーンを掛けてから鍵を開け、ドアノブを捻る。
ん、誰もいない?
「おい小娘、拾え。 とても寒い。 泣きそうだ」
……僕という人間はとても心が弱いのかもしれない。
高校に入ってからまだ一月程度、親元から離れて友人がいない環境だったとしてもまだたったの一月程度の短い期間だ。
たったそんな短い時間の孤独に耐えられない、そんな短い期間の独りで心を壊しありもしない幻聴を聞いて精神を安定させようとしている……愚かだ、実に愚かな人間だ。
…………気を紛らす為にペットでも飼おうかな?
「僕は神に愛されているのだろうか……」
「ペットが欲しい」そう思った瞬間に綺麗な白猫が現れる。
これはこのにゃんこを飼えということだよねっ!
チェーンを外してにゃんこを抱き上げる。
かわゆいのぅ、うへへへ。
ドアと鍵を閉めて部屋に戻る。
「早く餌とかトイレとか容易しないといけないな……。
それよりも名前付けないとなー。
にゃんこ太郎とか可愛いかな? 語呂が悪いな。
……よしっ!今日からお前の名前はにゃ五郎だ!」
という訳でにゃ五郎となった。
「誰がにゃ五郎だ! 我の名前はサイアだ、覚えておけ小娘」
にゃ……にゃ五郎が、喋った……!?
いや、幻聴か。
疲れているんだな、僕。
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