2人が本棚に入れています
本棚に追加
ぱきん
踏み出した足が小枝を踏み、高い音が森に響く
しんと静まり返り、吐き出した息が白く色付いた
足元には、先程気絶させた幾人もの白衣を着た人間が転がる
目の前に聳える小さな屋敷を視界に映し、盛大にため息をついた
「くっそ…!なぁにが、楽勝ですから頼みます、だよメフィストの野郎…!」
人間ばっかりじゃねぇかと苦々しく呟く三十路半ば程の銀髪の男、藤本獅郎
彼は正十字騎士團に所属する上一級祓魔師だ
藤本はタバコの火を消し、祓魔師のコートのポケットから出した新しいタバコに火を付け、口にくわえた
そして一枚の紙に目を落とし、ニヤリと笑った
「…さて、探しに行くか」
ぱきん
高い音が、再び森に響いた
最初のコメントを投稿しよう!