幽霊ロッカー解決編

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「全く…。 こんな時間に俺達を集めて…何のつもりだ。」 中野が苛立ち気味の声で言う。 「今から今回の事件の全てを解き明かして行こうと思うんだ。」 「事件の全てって…。 それじゃあ店長を殺した犯人が分かったの?」 おずおずと奈緒が口を開く。 「まず最初に言っておきたいのは店長を鈍器で殴った犯人と店長を殺した犯人は別の人物だと言う事だ。 こう考えれば、全員のアリバイが確定してるのも頷ける。」 「じゃっ…じゃあ竜之介。 犯人は二人居るって事?」 「まぁ、そう言う事だ。 でも犯人は二人だが今回の事件に直接関わったのも二人だけなんだ。」 「えっ…!? それってどう言う事?」 「つまり…。 もう一人の犯人は店長って事だよ。」 「そっ…それじゃあ店長は自殺したって言うのか!?」 「最終的にはね。 自分の頭をドアにぶつけて致命傷に至らせたのは他ならぬ店長自身なんだ。」 「でもなんでそんな事を…。」 「ここから先は事件の流れを話しながら説明するよ。 まず店長を殴った犯人。 Aと呼ぼう。 Aは何らかの用事、まぁ忘れ物を取りに来たか何かでロッカーに来た。 そこでAは予想外の物を目にするんだ。」 「予想外の物?」 「店長がロッカーを漁る姿さ。」 「店長が!?」 「そう。 秘密を知られた店長は、Aに襲い掛かったんだ。 口封じの為にね。 だからAは持っていたある物で店長を殴った。」 「ある物?」 「携帯電話さ。 考えてみたら懐中電灯には華夜と店長の指紋しか付いてなかった訳だし、中が暗かったらAだって上手く見える筈がない。 だからAは携帯電話の明かりを懐中電灯の代わりにしたんだ。 カメラのフラッシュ機能を使えば手元を探るには充分な明かりだ。」 「成程…。」 「Aにとってこの事態は予想外の出来事だ。 自分の身を守る為に、その時持っていた物で抵抗したと考えれば頷けるだろ? 暗闇の中で辺りを探る方法と凶器の正体は、切り離してはいけないピースだったんだ。」 「でもいくら何でも携帯電話で殴ったからってそんな…。」
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