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◎
ホーホケキョ!ホーホケキョ!
「ん?」
鳥の声、春の鳥ウグイスの奏でる歌声。
「あ…さ…」
体を起こす。ダルい。
「ウグイスって何時代だよ…」
のそのそと起き上がる。
昨日は眠れなかったからな…。て、ガキかよ。
「っと!」
ベッドからおり部屋を出ようと扉に近づく。ふと掛けてある制服を見る。衣類を着替え階段を下り洗面所へ。
鏡に映った顔は、目つきは普通で髪もこれといった特徴がなく、なんとも地味な造りだった。
バシャバシャ。
「ふぅ」
気分をスッキリさせリビングへ。
「おはよう」
リビングは真ん中に大きな長方形のテーブル、椅子が4つあり、手前に2つ、向こう側に2つ綺麗に並べられていた。
その一つ、テーブルの向こう側の左側、テレビがある方に父が座っている。名は明彦。
「ああ、おはよう」
優しい笑顔。父は柔らかい人で怒ることは皆無。銀縁の眼鏡が更に優しい印象を与える。
「あら、もう起きたの清盛」
そう言うのはテーブルの右側にあるキッチンで朝食の支度をする母。名は稟。母も父同様温厚で怒こったところを見たことがない。
「ならさっちゃん起こしてきてくれない?あの子まだ寝てるだろうから」
「は―い」
俺は引き返し、二階へ。俺の部屋が先に現れ、そして廊下の奥。扉に『さっちゃん』と書かれたプレートが掛けられている。
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