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こいつ本がすんげぇ可愛いから尚更だ。不覚にもドキドキしてしまった。
「ば、馬鹿やってないで支度しろ。せっかく早起きした意味ねぇだろ」
「え―?可愛くなかった?おばさん、これなら清兄瞬殺っていってたのに…」
最後の方はうまく聞き取れなかった。渋々と言った感じで部屋へ戻る定盛。褒めるべきだったかと思いながらリビングへ向かった。
程なくして定盛もリビングに入ってくる。
「叔父さん、叔母さん、おはようございます」
「おはよう定盛」
「おはようさっちゃん」
挨拶を交わし、席につく。
今日の朝食は豆腐とワカメの味噌汁、焼き魚に納豆、そして日本人なら愛して止まない白いご飯。我が家は麦飯だ。
「「「「いただきます!」」」」
4人の声が合わさる。凄く気持ちのいい朝だった。
ニュースを見ながら食事を続ける俺たち。
『今日は桜が舞ういい入学式日和です。新しい制服に身を包んだ学生の姿が―』
ニュースキャスターが淡々とニュースを読み上げていく。
どうやら話題は新学期。学生関連のニュースばかりだった。が、
『続いてのニュースです。今朝、木糸波(きしば)橋付近で男性の変死体が発見されました。男性の胸には穴が空いており、心臓が無かったようです』
「うわぁ、酷い事件ですね」
定盛が呟いた言葉に頷きながら明彦は答える。
「くれぐれもお前たち、気をつけるようにな。ま、2人とも今日から寮生活になるから心配はいらんと思うが…念のためだ」
淋しそうな顔をする明彦。
久しぶりに見たな、父さんのこんな顔。
ちらっと時計をみる。7時半を少し過ぎていた。
「ごちそうさま!じゃ俺もう行くわ」
「そう、まだ早いんじゃないの清盛」
「ああ、先生がさ、新入生は準備があるからってんで早く来いって言うからさ」
席を立ちながら説明する。
「清兄もう行くの?なら私もいこ―っと♪」
続いて定盛も席を立つ。
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