第1章

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ろくろ首 1 おれはプールへ携帯を落としてしまった。 プールの底から拾い上げた携帯は、通話もメールも出来なくなっていた。 プールからの帰り道、白い洋館の前に、一人の少女が立っていた。 少女は麦わら帽子をかぶり、真夏だというのに、長いマフラーを首に巻いていた。 おれはその少女にちょっかいを出して見たくなった。 またぞろ悪いくせが出たのだ。 それが間違いのもとだった。 おれはとんでもない目にあわされることになる。 おれは少女の肩に手を置いて言った。 「お嬢ちゃん、名前はなんと言うの?」 すると少女は、持っていた画用紙に鉛筆で名前を書いた。 そこには亀代と書かれていた。 「亀代ちゃんか。いい名前だね。ところで、暑いのにどうしてマフラーをしてるの?」 亀代がマフラーを取った瞬間、亀代の首がするすると伸びて、おれの首に巻きついた。 「うぐっ!」 おれは失神した。
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