星の囁き

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 間宮は恥ずかしそうに笑っていた。そしてやっぱり「ありがとう」と言う。間宮の言うありがとうは俺の心によく響いていた。とても心地よかった。  こんな時間が続くんだと思って疑わなかった。  昼の時間が短くなり、寒さが日に日に増していく頃だった。  ふとクラスの男子が俺に言った。 「真鍋、間宮緋真といるとこ見たぞ」  その言葉に近くにいた数人の女子が悲鳴を上げ、男子はざわついた。  嫌な予感がした。さっと教室を見渡すと間宮の姿はなかった。きっとあの桜の木の下にいるのかもしれない。  そう思うと少しだけ安著の息が漏れる。  間宮には嫌な思いをしてほしくない。 「なに、付き合ってんの?」  付き合ってはいない。お互いの気持ちすら伝え合ったこともなければ、聞きたいと思ったこともなかった。  だが、正直に答えるつもりもない。目の前に並ぶ顔には興味と嘲笑いの感情しか読み取れない。  男子も女子もなく、ただ平凡な日常を少しだけ揺らす出来事に興味があるだけなのだ。  まるでハイエナだ。 「つーか、なんで間宮? 委員長はモテるのに~」 「かわいそうって思ったから、じゃないの?」 「同情なら間宮、惨めだよねぇ」  また腹の底に泥が溜まるような感覚が襲ってくる。  笑い声が耳障りだった。醜く歪む顔が気持ち悪かった。  間宮のことを何も知らないくせに勝手なことを言ってほしくない。間宮をそうやって笑うな。  怒鳴ってやればいいじゃないか。  殴ってやればいいじゃないか。  そう思うのに、なぜか体は反応しない。頭のどこかで理性が働いて、俺の顔は引きつったような笑みを浮かべる。  そして、その口からは思いもよらぬ言葉が出てきた。
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