星の囁き

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「もう、お前に期待はしない」  そう言われたのはいつだったか───  中学二年の時にクラス替えがあり、新しいクラスで委員長に抜擢された。  幼いときより何事もうまくこなせるようになってきた。心を閉ざす方法も、隠す方法も人間関係を通して学んできた。  勉強も理解すれば楽しいもので、運動は抜群とは言えないまでも十分だった。  順調すぎるほど平凡で平和だった。  彼女に気づいたのはそんな四月も半ばを過ぎたあたりだった。  いや、クラスにいるのはわかっていたが目立たない彼女はいつも俯き加減で静かに席に座っていた。  ───間宮 緋真  クラス名簿に目を通して、初めて名前を知った。クラス委員となりながらも情けないと感じる。  だだ、それだけだった。  青葉がまだ生い茂る季節だったが、体育の授業ではマラソンが行われることになり不満の声が上がる中マラソン開始。  俺は走ること自体嫌いではなく、順位も中の上といつもの通りだった。上位メンバーはさすがの運動部の面々だった。  女子も同じく上位メンバーは運動部で占められていた。各々走り終えると座り込んだり、水を飲みに行ったりと休憩を楽しんでいた。  俺も同じように水を飲みに行き余った時間は、校庭に座り込み時折吹いてくる爽やかな風に清々しさを感じていた。 「全員いるかー?」  体育教師が時計を見ながら点呼を取り始めると、女子たちが少しざわついてくすくすと笑う声が出てきた。  何が面白いのか不思議に見ていると体育教師が気づいた。 「間宮がまだか」  改めて見渡してみると、確かに間宮緋真だけがマラソンから戻ってきていない。  コースは校庭を出て、学校敷地外をぐるっと一周して再び校庭を一周するコースだった。校庭の隅にある裏門を見ると、丁度間宮が息を切らせながら必死に走ってくるのが見えた。  冷ややかな声と嘲笑うような小さな笑い声が上がる。  それがクラスでの間宮の立ち位置だった。  俺はその姿を笑わず、どこか別の世界の事のように眺めていただけだった。  やっとの思いでゴールした間宮に体育教師は「お疲れ」とだけ声をかけ、同時に授業終了の鐘が鳴った。 「係りの奴は校庭に出したコーンを片付けておけよ」  教師の指示に小さく不満の声が上がる。長距離を走ってみんな疲れているのだ。  ぞろぞろと校内に戻っていく列の中に係りになっていた男子と女子も一緒になって混ざっていた。
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