星の囁き

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「間宮」  俺の声にはっとしたように振り返った。やっと間宮と目が合ったが間宮の瞳は怯えた色をしていた。  ───なんで、私……生きているんだろう───  すべて言わなくても俺には分かった。  俺と間宮はとても似ていると思った。間宮の立つ位置と俺の立っている位置は、恐ろしく不安定で不確かで危うい場所なんだ。  小さなことでゆらゆらと足元は揺れる。  立っていることが困難になってしまう、うまく膝をつければいい、上手にバランスを立て直せればいい、だけど間宮にはそれができない。  心が焦れば焦るほどに簡単な事ですら大きな壁となって間宮を襲う。  俺はそんな間宮に何がしてやれるのだろう、俺は誰かを支えるほど器用なのだろうか。  間宮の手を引けるほど強い心を持っているのだろうか。  間もなくして間宮は無事に退院を迎え、少し自宅療養をしてから再び登校してきた。  夏の陽射しで日焼けしたクラスメイトの中で間宮だけ肌が白いままだった。そして相変わらず、教室の隅で本を開いては休み時間を静かに過ごしていた。 「真鍋くんは、私と、いるとき……あまり、笑わない……ね」  放課後、図書館へ寄ると間宮が遠慮がちに聞いてきた。  図書館のテーブルに座る位置も以前より距離があるが、俺は無理に詰めようとはしなかった。 「そうかな? クラスの奴らといる時は、合わせてるだけだから。別に楽しいとか面白いとか思って笑ってるんじゃないし」 「そう、なの? とても……楽しそうに、見える……のに?」 「そう見えていたなら、俺の演技は本物だってことだね」  よくわからないと首を傾げる。間宮の髪がさらさらと流れた。  触れたい。  でも、それは出来なかった。
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