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「ただ、最後に聞かせて」
「なに?」
「どうしてそこまでするの?」
「決まってるでしょ。友達だからだよ。間違った道に進んでいたらそれを止めるのが友達ってものでしょ」
「……そう」
「大丈夫。絶対に輪廻は止めてみせるから」
「なんの用だ」
輪廻は掴んでいた男の首を離し、倒れ伏す男達の中心で優貴に視線を向けた。
鋭く冷たい、暗く淀んだ瞳。あらゆる感情の抜け落ちた表情はまるで人間味が感じられない。
「君を止めに来た」
「またか」
くだらないと吐き捨てるように呟いた。
「何度も言ったはずだ。俺には力がいる」
「こんなこと間違ってる!いつか取り返しのつかないことになる!」
「力がないから取り返しのつかないことになったんだろ」
話は終わりだとばかりに背を向ける輪廻。
「まだ話は終わってない!」
その背に優貴の制止の声が飛ぶ。
「もう終わりだ。話すことはない」
「……分かった。なら、話し合いは終わりだ。ここからは力づくで止める」
「……クク」
その言葉に輪廻は初めて表情らしい表情を浮かべた。
「面白いことを言うな、優貴。誰をどうやって止めるって?」
ゾクリッ。
振り返った輪廻の表情。そこに浮かぶ鋭い視線に背筋に寒気が走る。
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