投壺

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「その言い草はすこしおかしいですわ。だって晴玉さまはすでに陛下に嫁いだ身なのですよ」 「あっ……」  曹憲は口を手で押さえた。 「お姉さま。あたしたち三姉妹はすでに陛下に嫁いだ身なのです。漢に嫁いだからには、もう少ししっかりしてもらわないと困りますわ」  劉協は、曹節を見た。  曹節は嫣然と微笑んでいる。  たしかに三姉妹は劉協に嫁いだ。しかし、曹節と他の二人は実際には違うのだ。その事を知っているのはたったの二人だけのはず……。 「……で、どんな人物が出てくるの?」 「さあ」 「さあって、あなた、自分で書いた小説でしょう?」 「たしかにそうなんだけど、まだ数行しか書いていないのよ」 「呆れた……。それでよく小説を書いているなどと言えるものね」 「どういう女性を主人公にしたらいいのか浮かばないのよ。相手役の貴公子の男性はすぐに思いついたのだけど……。それでここにいる皆さんにお聞きしたいのですけど」
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