ニートな魔王とどっちつかずの錬金術師

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 『ニートな魔王とツンデレ勇者』をご覧の皆さんこんにちはおはようこんばんは。私、人間の居住する中でも魔王城がある『魔境』に最も近い街、『トマコマイ』で長年門番を務めているモン・バントゥと申します。  このトマコマイという街は魔境との最前線ということもあり、街の周囲を何十キロメートルと高い壁にぐるりと囲まれています。まるで進撃○巨人です。  そんな街の唯一の出入り口、この『ラショー門』を守るのが私、というわけです。直立不動の無表情。それが私のアイデンティティにしてこの街の名物。数多のお笑い芸人や自分を面白いと勘違いしている大学生がたくさん私に挑戦してきましたが、門番として勤務してから今まで、一度も笑ったことはありません。  雨の日も風の日も雪の日も魔物が襲来してきた日も、常に表情を変えず、語らず、『アイツ本当はオブジェなんじゃねーの』という噂を立てられても、ただひたすら門を守ってきました。  今日も変わらず私は門番として働きます。 「オイ。立て」 「俺はもう疲れました。これ以上歩くのは魔王の意地にかけて拒否します」  そう、たとえ魔王がやって来たとしても。
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