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もみじ山到着。
ドカドカドカ…
ガヤガヤガヤ…
バスが第一の目的地に着くと、おば様たちがバスを降りる。
『う~わ~ぁ』
…と遊子は背伸びした。
ワイワイ、ガヤガヤとした密室に何時間も込もっていたのだ。新鮮な空気を求めるのは必然的だろう。
しかし、気を抜いては居られない。
置いてきぼりをされると、帰ることも出来なくなる。
遊子は必死に、おば様達のあとを着いていった。
『わぁ~…綺麗!!』
目の前には、赤や黄色に色付いたもみじが色鮮やかに広がっていた。
さすが、もみじ山と命名する山だ…と遊子は、心の中で思っていた。
(綺麗だなぁ…)
(綺麗だなぁ…)
浮かれて、デジカメや携帯で写真を撮っている遊子の側では、おば様たちが、押し葉にするのだと、もみじの枝に手をかけて葉っぱを取っていた。
『あっ、これは綺麗な色だね』
『あら、これは、変わった色の付きかたね』
あ―でもない、こーでもないと口々に言葉を並べながら、おば様達のもみじ採集は続く。
『ほら、山谷さん、もみじの種だよ。採ったら』
あら、おば様たちは、葉っぱだけでは物足りず、種までゲットし始めている。
『これ、植えたら、芽がでるかもよ』
なんと、植木を買わずに、ただで種を手に入れて木を育てようというのだ。たくましいおば様たちに、遊子は巻き込まれていき、気がつけば、手のひらに4~5枚のもみじともみじの種が3~4個。どうにも出来ず、ティッシュに挟み、鞄の手帳に挟みこんだ。
(家で育ててみるか)
などと、遊子は軽く考え、手帳をしまい込んだ。
気がつけば、予定の時間となり、もみじを感嘆しながらもみじ山を後にした。
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