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うつ病になって十数年、以前ほどのだるさはなくなって、動けるようにはなってきたが、精神の不安定、不眠症には、まだ、悩んでいた。
そんな遊子の楽しみ…それは、月に一度の通院の帰りに寄る本屋巡り。
本が相手なので、会話などいらなく、人の目を気にすることもない、唯一の癒しの空間が本屋である。
純文学などは、あまり縁がない遊子。
読む本はいつも文庫。
分野はライトノベル。
買う本は、表紙の絵で決めたり、あらすじで決めたり…でも、やはり一番は題名。
ファンタジー系が大好きな遊子は、
『これを大人が読むの?』
と言われそうな、可愛い表紙の本を買ったりする。
…いいじゃん、好きなんだから…
本を手にしたときの嬉しい気持ち。
(これを読んだら次は、あれを読んで…)
普段の生活から離れ、異次元世界に立っているようなワクワク感。遊子の心が解放される瞬間である。
しかし、家に近づくにしたがって、やはり心は重くなる。
(きっとこの地域には、結界がはってあるんだ。私に害ある結界が…)
そんなことを思いながら家に帰る。
そして、部屋に直行。
(夕飯時間までは、まだ、少しある。本でも読もうかな…。)
表紙を見て微笑む。
体はだるいが、心が本を欲してる。
横になりながら、異次元世界に入り込む。
少しだけだが、心も体も軽くなる、この時間が、遊子には大切で大好きな瞬間だった。
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