序章

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「そんな顔で見んなって」 床に足を下ろすと男は彼に近づいた。 彼は何も言わず男を見上げた。 「どうする。俺と来るか?」 「………」 彼は何も言わない。口を閉じ、真っ直ぐに男の目をみる。 彼はわずかな期待をのせて助けを男に求めた。 その目を見て男は片方の口端をあげた。 「いいぜ。お前を逃がしてやるよ」 男は彼を抱え上げた。
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