序章

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反抗も抵抗も今までしなかったのに、まるで手のひらを返したように離れていく。 それも、幸せそうな笑みを残して……。 ありえない。 男は急いで窓へと走り寄った。 二人はすでに遥か下。他の男と合流したのち、森の中に姿を消した。 「くそっ!!」 男は力任せに壁を蹴ると窓枠に手をかけたまましゃがみこんだ。 「ミカル…逃がしはしない。必ず見つけ出し、このナルガトス国15代目の王、シャム・ネマルカのもとに膝まづかせてやる」 男は二人が消えた森を睨み付けた。 「覚悟しろ」 その目にはわずかに涙が滲んでいた。
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