9人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
………私は夢を見ていた
「はやく!もう、鬼に捕まっちゃうでしょ?」
小さな子供が二人、桜が沢山咲いている丘のような場所で遊んでいる
綺麗な黒髪を後ろでちょこんと結んだ男の子と、漆黒の髪を男の子と似たような髪形にした女の子
八歳ぐらいかな?
二人共笑顔で走り回っている
「待ってよ…!はやすぎるってば」
その後ろから追いかけて来る茶髪の男の子
すると、視界一杯に桜が舞い散り辺りが見えなくなる
「………………どうして?」
そこは先程と同じ丘の上だったが辺りは薄暗く、先程の男の子が倒れていて、茶髪の男の子が立っていた
背格好も十歳位の物になっている
茶髪の男の子は目に涙を貯めて目前に佇む女の子を睨む
「どうしては僕のいいたい事だ!」
女の子はぼーっとしていて瞳から光が消え失せていた
良く見ると黒髪の男の子は血に染まり、女の子はその男の子以上に血を浴びていた
茶髪の男の子は女の子に掴みかかり殴り飛ばした
「…何でだよ!何で…っ」
女の子は痛がる様子も無く、ただ虚空を見つめ続けている
「………………………」
茶髪の男の子は尚も女の子を睨むが、堪える事が出来なくなった涙が溢れた
黒髪の男の子には既に息は無いのだろう
「……………あぁ、私は」
人を殺したんだぁ…と誰に言うでもなく女の子は呟いた
「…ってめぇ!ふざけんなよ!」
涙で顔を歪ませながらも茶髪の男の子は睨む事を止めない
「…………」
女の子は何も言わず、ゆっくりとその場を去った
最初のコメントを投稿しよう!