桜の木

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………私は夢を見ていた 「はやく!もう、鬼に捕まっちゃうでしょ?」 小さな子供が二人、桜が沢山咲いている丘のような場所で遊んでいる 綺麗な黒髪を後ろでちょこんと結んだ男の子と、漆黒の髪を男の子と似たような髪形にした女の子 八歳ぐらいかな? 二人共笑顔で走り回っている 「待ってよ…!はやすぎるってば」 その後ろから追いかけて来る茶髪の男の子 すると、視界一杯に桜が舞い散り辺りが見えなくなる 「………………どうして?」 そこは先程と同じ丘の上だったが辺りは薄暗く、先程の男の子が倒れていて、茶髪の男の子が立っていた 背格好も十歳位の物になっている 茶髪の男の子は目に涙を貯めて目前に佇む女の子を睨む 「どうしては僕のいいたい事だ!」 女の子はぼーっとしていて瞳から光が消え失せていた 良く見ると黒髪の男の子は血に染まり、女の子はその男の子以上に血を浴びていた 茶髪の男の子は女の子に掴みかかり殴り飛ばした 「…何でだよ!何で…っ」 女の子は痛がる様子も無く、ただ虚空を見つめ続けている 「………………………」 茶髪の男の子は尚も女の子を睨むが、堪える事が出来なくなった涙が溢れた 黒髪の男の子には既に息は無いのだろう 「……………あぁ、私は」 人を殺したんだぁ…と誰に言うでもなく女の子は呟いた 「…ってめぇ!ふざけんなよ!」 涙で顔を歪ませながらも茶髪の男の子は睨む事を止めない 「…………」 女の子は何も言わず、ゆっくりとその場を去った
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