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しかし、突然の出来事に驚いた気の迷いだと思い、その後は胸の痛みも七海の事も気にしない、昨日と変わらない今日を送っていた。
……はずだった。
帰宅時間になって、七海が声を掛けてくるまでは。
「待って~。歩くの、早いっ!置いて行かないで~!」
再会して感動的な場面。
なのが、テレビ番組でも本の中でも定番だが、現実は、再会した最初の言葉などこんなものだ。
しかし、七海はきちんとおきくの事情を汲み取っているかのように、周囲に人影が見えなくなってから、声を掛けて来た。
「……忘れているのか、と思っていたのだが」
呼び掛けられて、おきくは足を止めて、初めて再会した七海と真正面から向き合った。
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