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「忘れるわけ、ないじゃない?あなたは、私の心を解放してくれた恩人だし」
カラッとした明るい笑顔。夢の中で見ていた人を見下すような目付きや表情は、まるで無い。
明るい茶色に染めたボブ・ショートの髪が、陽の光を浴びて煌めく。
弾けた笑顔と同様に。
眩しそうに目を細めたおきくは――しかしそれも一瞬の事で――真顔で次の質問を繰り出した。
「恩人などと、大袈裟な。私は私のやるべき事をやったまで。ところで、何故、転入してきた?」
至極最もな疑問に、七海は顎に人差し指を当てて、小首を傾げる。
「……ああ、気色悪いっ。こんなぶりっこなんかやってられないっつうの!」
別におきくがやってくれ。と頼んだわけでもなく、勝手にやって、勝手にキレている。
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