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一族が衰退する事を、本当はおきくが望んでいた。
先代のおきくの頃から、一族の宿命に疲弊して来ていた。
しかし、それを許さないのが、『外』……つまり、一族以外全ての者。
本当は。現当主のおきくも、先代と同じく疲弊していた為、胸の裡では今回の婚姻に興味が無かった。しかし、それが許されないから、生殖能力のある娘に、子を産む事を強要した。
娘が一族の贄状態である事は、何よりもおきくが解っていた。
「いっそのこと……男女共に生殖能力が無くなれば良い」
おきくが呟く。
一族が亡び、ぬくぬくと守られているだけだった日本人共が泡を吹いて周章てれば良い。
それが、現当主のおきくの隠された願いだった――
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