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お仙の淹れてくれた茶を啜りながら春信と政吉と三人で仕入れた情報を共有する。
「ふぅむ。となると、小田原屋さんの前妻との子どもを跡取りとして迎えようとするとどうしてもその前妻がしゃしゃり出てくる、と」
春信はお仙が聞いた話に腕を組んでふむふむと頷く。
「そんでもってお久美が産んだ子どもが今はどこでどうしているのか不明、か」
まぁ十中八九お久美の親元で育てられているのだろうが、何故お久美と離れ離れなのかがよく分からない。
少なくとも小田原屋次郎兵衛はお久美の前の亭主・三吉とは違って良き夫であり父だと思えるのだが。
やはり我が子ではないからか。
「その辺はもう少し詳しく調べてみようかと思っています」
政吉の言葉にそれがいいな、と春信もお仙も頷く。その結果が分かり次第、また話し合おうということでその日は終わった。
……そう、三人は思っていたのだ、が。
なかなかこちらの思惑通りにことが運ばないということを三人は実感した。
芝居でも何でもないのだ、と。
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