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地下を抜け出し、廊下を駆け抜け、先程の客間へ。
気を失ってどれだけ時が経ったかは分からぬが、ちらと見えた空は黒のまま。
余り経っておらぬことを信じつつ。
誰ともすれ違わぬまま、客間は開いており、もぬけの殻。
なれば何処ぞ!? 思い付く限り探し、探し、探し。
一匹の小鬼が、廊下に倒れていた。
何か知っていやがるか?腕を掴み持ち上げれば、白目を剥いたままひくりともしない。
「おい…!おい、死んでおる訳ではあるまいな!?」
「……… あ……副頭… 副頭!?」
「伊吹は何処だ!?言え!!」
「あ、……えっと 門を出て直ぐの広場に」
詳しき話も聞かぬままそれを放り、更に走る。
玄関を出るまで、点々と鬼が転がっていた。
どいつも皆気を失っていやがる。
今は構う暇も無い。
門を破り、其処にあった光景に、時が止まる。
四人の男が、気を失い倒れている伊吹を囲み。
あの"神"が、刀を振り下ろしていた。
「ヒト畜生共がああァ!!」
刀は止まらなかった。
ギラリ反射する其れは、ヒュ…と伊吹の首を通り抜け。
少し遅れて、血飛沫が咲いた。
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