慟哭(な)いた赤鬼

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  ……… 余りの事に、この先の記憶はすっぽりと抜け落ちている。 次に覚えているのは、上り来た朝日の冷たさだ。 砦の半分が壊れていた。 自分の片腕と角が、何時の間にやら一本ずつ無くしていた。 あのヒト畜生共は姿を消し、目前にあるは、首の無い伊吹の胴と、血溜まり。 「……… 伊吹………?」 呼べど、返事は無い。 首が無いのだ、返事のしようも無かろう。 其の場で、俺は泣いた。 其れは、生まれて初めての感情だった。  
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