俺と弟

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 俺の選択を、俺のこれからを、翼に応援してもらいたいと言った俺の気持ちは、本物だった。  でもだからこそ、俺の騙(かた)るその場しのぎの嘘の夢に、翼が騙されたフリをしてくれると、俺は分かっていた。  俺は翼の俺への想いと優しさを、翼に未来を思わせる為に、利用したんだ。  ――けど、俺は知らなかった。  翼が母さんに頼んで、航空整備士の資料を読み漁っていたこと。  航空整備士は国家資格が必要であり、中卒程度の学力じゃ資格を得ることなんて到底不可能なことを、翼が知っていたということ。  ――“兄ちゃんがパイロットになったら、俺は一等航空整備士になる”。  そして、そんな翼の夢を、俺は知らなかった。  翼の夢を後に知ったとき、俺の嘘に、翼は何を思い涙を流していたのだろうかと、俺は胸が張り裂けそうな気持ちになった。
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