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彼女と俺
葉月と出会ったのは、連日の雨に憂鬱な気分になる、梅雨の時期。
「悪いな一哉、頼むわ」
「全然構いませんよ、気にしないでください!」
工場の中において、一番の若造で、一番の下端(したっぱ)だった俺が、先輩に頼まれて、昼の買い出しへと出掛けたときのことだった。
******
頭にタオルを巻いて、紺色の作業着姿のままビニール傘を開き、近くのコンビニに着いた俺は、目に飛び込んできた異様な光景に、思わず釘付けになった。
平日の真っ昼間の、どしゃ降りの雨の中。
女子高生が一人、動物の絵柄が入った紙パックジュースを飲みながら、コンビニの駐車スペースのコンクリートの上に、足を投げ出すようにして座っていた。
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