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そして、すぐにこの場から逃げなければならない。
こんな男の為に捕まりたくはない。
─────ガタン…
背後から聴こえた。
玄関のドアが閉まる音。
ゆっくりと後ろを振り返る。
そこには、真っ赤なランドセルを背負った少女が無表情のまま立っていた。
ランドセルが不釣り合いなほど、大人びた顔立ちに、冷たい視線。
見られた。
この子も殺すか?
口封じに。
ヤるなら早くしなければ。
逃げられる。
「殺したの?」
少女は静かに訊ねてきた。
やっぱり、この子も殺すしかない。
「う…うー…」
足元で唸り声が聞こえた。
男はまだ死んでいなかった。
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