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苦しそうに身体を動かしている。
「殺して」
少女の口から予想していなかった言葉が発せられた。
「え…」
戸惑い、何もできずにただ立ち尽くす。
少女の視線はただ一点に注がれていた。
男の胸に刺さったままの血塗れの包丁 。
少女は靴を脱ぐこともなく、男の前まで歩み寄ると、包丁を一気に引き抜き、そのまま首を目掛けて降り下ろした。
激しく、血飛沫が上がる。
床も壁も紅く染まった。
そして、少女も。
驚く自分とは対照的に少女は無表情だった。
それが余計に異様だった。
男はもう動く気配はない。
完全に事切れた。
「バラバラにしよ」
言いながら、視線を此方に向ける少女 。
「捕まりたくないんでしょ?」
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