【不知火月】

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辺りに車の通りはなく、静かな場所。月はまだ見えない。 ゼーハーと、自分の息を整える音だけが聞こえる。 一緒に出てきそうになる涙を、必死に堪える。 駄目だ、泣くな。 月に照らされる彼女の『  』。 その姿は氷水の様に頭に流れ込み、体の芯まで冷たくしてゆく。 やっと息が整ってきて、思考も落ち着いた。 深呼吸をしようと、息を思いっきり吸い込んだ。
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