告白

2/8
前へ
/8ページ
次へ
明るくて柔らかそうな髪が、少し目を隠すくらいに長い。 彼の周りにはいつも人が集まっている。 友達から聞いた話では、とても人当たりが良くて男女共に人気があるらしい。 私はいつしか、彼を目で追うようになった。 頻繁に見かけるわけではない。 けれどいつでも人に囲まれ、笑っている彼。 それなのに私には、どうしてか彼が憂いてるように見えるのだ。 その長い前髪から覗く瞳の奥に、暗い陰があるように感じた。 大勢の人の中にいても、いつも独りみたいに。 笑っているのに悲しんでいるみたいに。 何かを嘆いているように。 彼が友達に手を振り、一人になった。 そして彼は振り返り、一瞬開放されたように微笑んだ。 私は伝えたくなってしまった。 それが何なのか、はっきりと分かってもいないのに。 この胸の中にある言葉を…。  
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加