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七不思議の話をしたとき、架神が首をかしげたので緑川も同じに首をかしげた。それから思い出したようにぽんと手を打った。
「ああ、その七不思議聞いた頃あるな」
「え、そんなに有名なんですか!」
「僕も卒業生なんだ。ちなみに高校はそこの付属高校だよ」
「え!マジすか!」
「うん。あー、なるほど僕が居たころは何も無かったけど数年語られればそうもなるか」
「あの、話がよめない…」
「この話はあとにしよう。確かその七不思議、17時26分に特別棟の一階廊下に行くと足の無い女の子が現れる、だったね」
「それそれ!」
「これが一つ目だ」
誰が何のためにその噂を流したのかはわからないが17時26分が少女が死んだ命を落としたとされる時間。もしかしたら日付も同じだったのかもしれないね、と架神に言われて背筋が冷えた。
本当にたまたまその日付を選んだだけだったがもしかしたら彼女が誰かを呼んだのかもしれないと
思うと途端に恐ろしさが増す。
「二つの条件が揃った。彼女の年齢は?」
「それは、聞いたことねーかな…」
「君たちと同じ中学三年生、15歳だったんだよ」
「っ・・・!」
「あとは時間が問題だったね、夕暮れ時、昼と夜が入れ替わる丁度その間のことを逢魔ヶ時っていってね、あの世とこの世の境目が曖昧になるんだ。だから出会いやすい。これだけ揃えば十分だけど翠都くんが選ばれたのは多分彼が優しいから、かな」
「翠都が優しい・・・確かに。なんだかんだこんなことにも付き合ってくれるしな・・・」
そもそも最初に話していた考え方も真面目で優しいと言ったことも思い出した。こんなことに巻き込んでしまったけどきっと怒りもしないし、「緑川じゃなくて良かったな。お前びびりだもん」と笑うだろうと予想もつく。緑川がまた目に涙を滲ませると、架神が少し笑った。
「翠都くんならきっと彼女がこうなった本当の理由をわかってくれると思ったのかもしれないね」
「架神くんも優しそうっすけど」
「僕?そうでもないよ。今回は少し様子を見ようと思ったけど普段なら問答無用、引きずり出してる」
「想像つかねーや・・・」
「そこまで切羽詰ってないってのもあるけどね。結構やばいときは憑かれた人間が発狂して暴れてたりするからさ」
「な、なるほど」
普段の翠都を見ていると叫んだり暴れたりしているのなんて想像もできない。
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