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小学2年生からの付き合いで現在中学三年生。けして短い付き合いではないのだ、知らないはずが無い。
「うん?翠都の誕生日だろ!知ってる」
「なんでそのめでたい日にわけのわからないことに付き合わなきゃなんないの」
「え、面白いし良い記念になるぞ!」
「ならねーよバカ!!」
「えーん翠都~!!」
緑川陽という男は心霊や不可思議な現象に興味津々であるが霊感というものがまるで無い。
見えないことが更に興味に火をつけているのかもしれないが、好きなくせにホラー映画は一人で見れないような怖がりだ。そのため、怖がりな緑川の好奇心に巻き込まれるのは幼馴染の翠都となる。
今までは面白そうな映画や心霊動画があったから一緒に見てくれというくらいだったのだがついに七不思議を見に行きたいと言い出した。それも暇な日なら良いがなんだって15歳の誕生日に行かなければいけないのか。絶対行かないと首を横に振っていたが、昼食の時間になるまでの授業の間の小休憩まで何度も誘いに来るから驚いた。
「なあー!翠都!!」
「しつこいなー」
「だって!気になる!」
「仮に居たとしても見えないだろ?」
「それが最近目撃情報があるんだな!!だからもしかしたらほんとに俺の目で見れるかも知れないじゃん!」
「見えるわけないじゃん」
「行ってみなきゃわかんない!」
「あー、もう。わかったわかった・・・・はあ」
「ため息なんて幸せ逃げるぞ!」
「誰のせいで・・・」
「え?!なんて?!」
「お前マジでそのうちぶん殴るからな」
「じゃあ放課後教室残っててくれよ!」
「はいはい」
熱心に何度も誘いにくる緑川に根負けしてついに頷いてしまい、この勝負は緑川の粘り勝ちだ。
無事約束を取り付けた緑川はチャイムとともに座席に戻り、翠都はその後の休憩時間の平和を勝ち取ったが昼休みが終われば残りの授業は二つ、あっさりと時間は過ぎていく。
授業が終われば部活に行く生徒意外は皆下校する。その流れに乗って帰りたいのは山々だが翠都も真面目な性格で友達との約束を破ることはない。
「マジで行ってくれんの?!」
「まあ、行くって言ったからなあ」
「翠都って意外と男らしいよな」
「何が言いたいんだよ、殴るぞ」
「まだ身長のことには触れてないのに?!」
半笑いの緑川の肩に翠都の拳がめり込んだ。
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