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背高いビルが並ぶ路地裏に一人の人間がいた。
目深くフードを被り、風に揺れた黒いコートから覗くベルトには、緋色の宝石が埋め込まれた短剣が鞘におさまっている。
歩くたびにコツコツと靴の音がコンクリートに反響していた。
「見――つけた…」
ダンッ!!という音と共に、地面を強く蹴り、空を一回転しながら"目標"の前に姿を現す。
「ひっ、貴様!!…何者だ?」
いきなり目の前に出てきたのが怖かったのか"目標"は肩を震わしている。
当たり……だ。
「貴方を殺しに来ました…」
このセリフは七年前から変わっていない。
特に理由はない。嘘はいってないし、この言葉が一番しっくりくるからだ。
すると、言葉を発した途端、目の前にいる人の顔が青ざめた。
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