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「……、ソウちゃん、来るのかな?」
長椅子の背もたれに背中を預けながら胸の中で呟いていた。
「少しの時間なら面会できますよ?」
いつの間にか眠っていた私を看護士さんが起こしてくれた。
「あっ、ありがとうございます!」
私は看護士さんにお礼を言うと病室へと急いだ。
「叔母ちゃん、心配したよ」
ソウちゃんのお母さんの顔を見た途端に涙が遠慮を忘れ始めた。
叔母ちゃんの手を握りしめて、叔母ちゃんの胸でしゃくりあげたんだ。
「おんぼろな身体だからねぇ、心配掛けてごめんよ」
「……」
叔母ちゃんは私の髪を優しく撫でてくれた。
私は叔母ちゃんの優しい言葉に首を何度も横に振って、言葉の代わりに鼻を啜るのがやっとだった。
「みぃちゃん、仕事は?」
「うん、今日は休み取ったから大丈夫」
「私の事はいいから、仕事行きなさい」
「ううん、今日は叔母ちゃんの側に居るから」
叔母ちゃんの頬を涙が伝っていた。
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