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「……、草太が大阪に行った日にね」
「……、うん」
「草太の部屋を掃除してたら、ゴミ箱から丸めた便箋が幾つも出てきて、そのまま捨てようかと思ったんだけど、あの子が手紙なんてと思ったら、つい広げて読んじゃってね」
「……、うん」
叔母ちゃんは何度も私の手を握りしめてくれていた。
「もう十年も前の事だから、今更なんだけどね、便箋にはみぃちゃんの事が好きだと書いてあったんだよ」
「えっ?」
「草太は不器用な上に、ずっと拗ねて育ってきたから、みぃちゃんに手紙は渡ってないとずっと思ってた」
「……、うん、貰ってない」
「もっと早く伝えたかったんだけど、みぃちゃんの気持ちを聞く勇気が私には無くてね」
私は後悔していた。
伝えておけば良かったと……。
素直に好きだと伝えておけば良かったと、そう後悔していた。
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