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「草太に継がせたらいいんだよ」
病院の売店から戻ったら、作蔵叔父さんが来ていた。
病室のドアが開けっ放しだったけど、中に入るタイミングを失った私は病室のドアの横の壁に背中を預けていた。
「あの子には好きな事をさせてあげたい」
「好きなこと好きなこと言ってる場合じゃない、自分の身体のことも考えてやらにゃ」
作蔵叔父さんはソウちゃんにレタス栽培を継がせるつもりなんだと分かった。
「私に何かあったら、その時は止めればいいだけの話し、何もあの子に遣らせることはない」
「全く甘いなぁ、だから平気で大阪なんかに行くんだよ」
「何度言われても私の気は変わらない」
「ったく、人の気も分からないで」
「あっ、おはようございます」
「おはよう、来とったんかい」
病室から出てきた作蔵叔父さんは私に気付くと、片手を挙げながら廊下を歩いて行った。
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