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「俺だ、キャベツか?」
「叔父さん、俺のことキャベツって呼ぶのやめてくれよ、もう三十前やし、恥ずかしいわ」
突然、作蔵叔父さんから電話が入ったのは、仕事を終えてマンションに戻る途中の車の中だった。
「そんな事は後だ、母さんが倒れて病院に担ぎ込まれた」
「えっ?」
お袋が倒れたと云う電話を作蔵叔父さんから貰ったのは、これで二度目だった。
「芳しくないらしい」
「……、そうなんや、新幹線は間に合わんし、今から車飛ばすわ」
車の時計に目を移すと時刻は二十三時を回り掛けていた。
「市内の総合病院、着いたら連絡くれ」
「わかった」
「飛ばすなよ」
作蔵叔父さんはそう言うと電話を切った。
「だから無理すんなって言ったやんか!」
俺はハンドルを両手で叩きつけながら、お袋の無事を祈らずにはいられなかった。
俺の田舎は長野県の川上村でレタスの産地で有名な村だった。
十年前、お袋を独り残して高校卒業と同時に大阪の会社に就職したんだ。
土の匂いが嫌いだったから……。
そんな子供じみた理由だけでお袋を川上村に独り残したんだ。
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