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「リンゴ買って来たよ」
「悪いね、ありがとう」
叔母ちゃんはベッドから起き上がると髪を後ろで束ねた。
「作蔵叔父さん来てたんだね」
「会ったんかい?」
「うん、廊下ですれ違ったの」
「そうかい、草太が来るみたい」
「よしっ! とことんとっちめてやる」
私はリンゴの皮を剥く手を止めて、ナイフを顔の前に立てると舌を出した。
「あはは、みぃちゃんったら、可笑しな子だよぉ」
叔母ちゃんは片手を口元に当てると、嬉しそうにクスクス笑っていた。
きっと私と同じように、ソウちゃんに会えることが嬉しくて仕方無いんだと思った。
「作蔵叔父さん、ソウちゃんにレタス畑継がせるつもりなんだね……、あっ、ごめんなさい、聞こえちゃって」
「ううん、構いやしないよ。私は反対なんだけどね」
「どうして? 叔母ちゃんの身体のことを一番に考えなきゃ」
私は切り終えたリンゴを小さいフォークに刺して叔母ちゃんに手渡した。
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