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叔母ちゃんは私の髪を優しく撫でながら鼻を啜っていた。
土が嫌いになったソウちゃん……、私も何も出来なかった。
ただ、ソウちゃんのことを「キャベツ」と呼ばなかっただけ……。
「叔母ちゃん?」
「うん?」
「やっぱりソウちゃんが来たらとっちめてやる」
私は遠慮を忘れた涙を手のひらで拭いながら笑って見せた。
「……、みぃちゃんったら」
叔母ちゃんも鼻を啜りながら笑ってくれた。
「叔母ちゃんを泣かせるソウちゃんを絶対許さないんだから」
また、叔母ちゃんの胸でしゃくり上げた。
「あれほど無理すんなって言ったやんか!」
いきなり病室に入って来るなり怒鳴り声を上げたのは、ソウちゃんだった。
私は慌てて涙を手のひらで拭い取った。
「おぅ! みぃ久しぶり」
「よぉ! キャベツ元気そうだな」
初めてソウちゃんのことをキャベツと呼んだ。
……、素直になれなかった。
照れ臭くて……。
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