再会

9/11
前へ
/39ページ
次へ
. 「……、分かってる」  みぃの横顔に返事をした。 「……、なら、いいんだけど」  みぃは桜の木に向かって答えた。 「悪いな」 「なにが?」 「お袋のこと、いつも気に掛けてくれて」 「ほんとにそう思ってるの?」 「思ってるから言ってるんやがな」 「ダサい」 「なにがやねん」 「その下手な関西弁」  みぃのぶきちょな横顔を見ていた。 「下手ってなんやねん」 「ほら、そのなんやねん、全然関西弁っぽくないし」 「知らんがな」 「あはは、それは、ぽいっ」 「どないやねん」 「あはは、それは微妙」 「ちっ!」  みぃの笑い声を聴いたのは何年振りだろう、あの時手紙を渡せば良かったと、また思い始めていた。 .
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加