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「……、分かってる」
みぃの横顔に返事をした。
「……、なら、いいんだけど」
みぃは桜の木に向かって答えた。
「悪いな」
「なにが?」
「お袋のこと、いつも気に掛けてくれて」
「ほんとにそう思ってるの?」
「思ってるから言ってるんやがな」
「ダサい」
「なにがやねん」
「その下手な関西弁」
みぃのぶきちょな横顔を見ていた。
「下手ってなんやねん」
「ほら、そのなんやねん、全然関西弁っぽくないし」
「知らんがな」
「あはは、それは、ぽいっ」
「どないやねん」
「あはは、それは微妙」
「ちっ!」
みぃの笑い声を聴いたのは何年振りだろう、あの時手紙を渡せば良かったと、また思い始めていた。
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