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私は桜の気を眺めながら、素直になれない自分を責めていた。
「大阪へはいつ帰るの?」
「お袋大丈夫そうだから今夜には戻るよ」
「そっか」
またソウちゃんと会えなくなるんだと思った。
「彼氏できたのか?」
「当たり前でしょ? もう二十八だよ」
ソウちゃんの予想外の質問に嘘をついた。
素直になれない……。
嫌な私が此処に居た。
「……、だよな」
「ソウちゃんは?」
「……、居ないよ」
「キャベツじゃね、あはは」
「意味わからんし」
また憎まれ口を叩いた。
暫く会話が途切れていた。
時折吹く冷たい風に、小さい溜め息を預けていたんだ。
この素直になれない嫌な私を何処かへ運んで欲しいと冷たい風に胸の中で呟いていた。
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