れたす

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. 「戻ろうか」 「あっ、うん」  なんてタイミングが悪い奴だとソウちゃんを胸の中で責めていた。  せっかく決心したばかりなのに……。 「ソウちゃんのバカ……」 「ん? なんか言った?」  私の前を歩くソウちゃんは立ち止まって振り返った。 「叔母ちゃんを独りにしないで」 「あぁ、分かってるって」 「じゃあどうすんの? 川上村に戻るの?」 「……、急には決められへん」 「ほら、やっぱり」 「……、むちゃくちゃやな」  ソウちゃんは少し怒った顔でそう言いながら歩き出した。 「……、ごめん」 「……」 「……、キャベツ、怒るなよ」 「キャベツ言うな、アホ」 「アホ違いますぅ」 「ったく……」  ソウちゃんは立ち止まること無く、病棟の中へ入って行った。 .
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